脂肪肝・アルコール性肝障害についてまとめました。
肝細胞に中性脂肪が過剰にたまると脂肪肝になります。例えると、肝臓がフォアグラのような状態です。
健康な肝臓でも3〜5%の中性脂肪を含んでいますが、5%を超えると脂肪肝と診断されます。脂肪肝になっている組織を顕微鏡で見ると、肝細胞内に球状の脂肪(脂肪滴)が異常に増えています。
正常な肝臓の脂質は、約3分の2がリン脂質で占められ、主に細胞の膜を構成し、残りの約3分の1がコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸になっています。ところが脂肪肝では、中性脂肪が異常に増加して大部分を占め、コレステロールやリン脂質が蓄積することはほとんどありません。
肝細胞に大量の脂肪がたまると風船のようにふくらみ、肝細胞どうしが圧迫しあい、細胞間の血管が圧迫されて血流が悪くなります。このため、肝細胞に十分な酸素や栄養素が届かず、機能低下を起こします。
脂肪肝は、年代では30〜70代に多く、男性では40歳前後、女性では40代以降の中高年に多発しています。性別では、男性の方が多く発症しています。
アルコール性肝障害は、大量のアルコールを長期間飲み続けているうちに肝細胞が傷つけられ、肝臓の機能にさまざまな障害を起こす病気です。
アルコール性脂肪肝から始まって、しだいに悪化し、肝硬変や慢性肝炎に至ります。
肝臓は、体内で代謝によって発生したアンモニアなどの有害物質や、体外から飲食物とともに摂取された有毒物質に対して解毒作用をもっています。酸化、還元、加水分解、抱合といった化学反応で水に溶けやすい形にして、尿や胆汁中に送っています。
アルコールは、その90%が肝細胞の中にあるアルコール脱水酵素(ADS)やミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)によって分解処理され、残りの10%は呼気や汗、尿などに混じって体外に排泄されます。体内でアルコールを分解する際に生じるアセトアルデヒドが肝細胞を傷つけ、破壊して肝機能を低下させるのです。
肝臓が1時間に処理することができるアルコール量は、体重60kgの人で6〜7g程度、これは、日本酒で4分の1合、ビールなら大瓶4分の1本の量に相当します。
過度の飲酒は、MEOS系の酵素の働きを活性化させ、アルコール処理能力は通常の3倍近くまで増加することがわかっています。しかし、長期間に渡って繰り返せば、やがて処理能力の限界を超えて障害を引き起こすことになります。
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