北海道糖業(東京)の石川弘研究員と北大大学院農学研究科の原教授らによる研究チームは、ビートから砂糖を取った後に残る廃糖蜜から、ビタミンBの一種「イノシトール」を低コストで大量に抽出する方法を開発した。また、イノシトールを体内に摂取すれば、脂質の酸化を防いで血栓の防止などに役立つ物質「プラズマローゲン」が増えることも突き止めた。健康食品などへの活用が広がりそうだ。
イノシトールは野菜や果物などに含まれ、乳幼児の成長に必要な物質とされる。粉ミルクやビタミン飲料に使われている。ビートにも含まれるが、これまで効率的な抽出方法がなかった。
同チームは2003年はじめに研究に着手。糖廃蜜をイオン交換機に複数回通してろ過し、ビート十キロに1〜3グラム含まれるイノシトールを、数時間で抽出することに成功した。純度は99.9%。交換機の形を工夫したほか、イノシトール以外の物質除去のために入れる吸着剤を二種類組み合わせたのが効果的だった。
イノシトールはとうもろこしを原料とする抽出法があるが、石川研究員によると、工程が複雑で、製品も1kgあたり数千円と高価。これに対し、今回開発したビートからの抽出方法では、かかる時間が数分の一のため、大量抽出が可能で、工程も簡単なため、コストは大幅に下がるという。
また、イノシトールを摂取することで、肝臓や血液に「プラスマローゲン」が増えることをマウス試験で確認した。プラスマローゲンは細胞内の物質の酸化を防ぐ作用があり、動脈硬化や脳血栓、アルツハイマー病などの脳の老化障害、糖尿病などの防止にも効果が期待できるという。
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