咽頭は、鼻の奥から口腔、食道までつながっている器官で、空気の通り道としての気道と、食べ物の通り道としての消化管の一部を成しています。鼻の奥の“上咽頭”、扁桃腺の周囲の“中咽頭”、食道の手前までの“下咽頭”と3つの部分に分けられますが、それぞれにできるがんの性質や、おこってくる症状も異なります。
咽頭がんは、上咽頭、中咽頭、下咽頭、その位置によってがんの性質やあらわれる症状が異なります。
【上咽頭がん】
上咽頭がんとは、上咽頭部にできた悪性腫瘍のことです。上咽頭がんは台湾、中国南部、東南アジアなどの地域に多く発生し、わが国ではまれな疾患です。現在、わが国における年間の上咽頭がん発生数は、約500例と推定されます。男女比は2:1で男性に多く、年齢的には40〜70歳代に多発していますが、10〜30歳代にもみられます。
【中咽頭がん】
中咽頭がんは、わが国では年間1,000〜2,000人程度に発症する比較的まれながんといえます。ただし、地域的には九州、沖縄など南の地域に多く発症する傾向にあり、強い酒などが原因ではないかといわれています。また、世界的にはインド、東南アジア、フランス、イタリア、ロシアなどに多い傾向があり、やはり強い酒や、インドのかみたばこをたしなむ風習などが原因のひとつではないかと考えられています。男女比では他の頭頸部がんと同様に圧倒的に男性に多く、好発年齢は50〜60歳代で、比較的若い人にもみられます。
【下咽頭がん】
下咽頭がんの頻度を世界的にみると、フランスやインドに多く、日本は少ない方だといえます。好発年齢は50歳以降であり、60〜70歳頃にピークがあります。しかし最近では、平均寿命の延びが著しく、80歳以上にもしばしばみられるようになっています。飲酒・喫煙の習慣が男性に多いことから、梨状陥凹のがんは男性に多く、鉄欠乏性貧血が女性に多いことから、輪状後部のがんは女性に多い特徴があります。
咽頭ってどこ??
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